新疆ウイグル自治区

カシュガル→タシュクルガン/バスチケット売切れ!タシュクルガンへの道 新疆ウイグル自治区・南疆鉄道の旅⑧

カシュガル(喀什)

早朝のカシュガル市内

明け方、ホテルの窓からの風景。

北京朝7:00で、新疆時間では朝5:00である。

8:00前、朝食付きなので、5Fの食堂へ来た。

5Fの火鍋屋が朝食会場となっている。

人民広場

8:30にチェックアウトした。

早朝の人民広場の様子。人影は少ない。

今回宿泊していた天縁商務酒店。

タクシーで、移転した国際バスターミナルがある広州新場付近へ行く。ホテルのフロントも、タクシー運転手も、バスターミナルが移転したことを知っていなかった。しかし昨日の移転案内の貼り紙に、「広州新場近く」の記述があり、フロントも運転手も広州新場の場所は知っていた。

西域広場付近

西域広場付近

ホテルからバス亭2つ目の場所。実はここから新国際バスターミナル行き4路のバスが出ていた。

疏附県八里橋公安検査駅

完全に市街地から外れた場所にある。検問を通るため、一旦タクシーを降りる。「疏附県八里橋公安検査駅」と標示があり、つまりカシュガル市内から出ることになる。新しい国際バスターミナルは、カシュガル市内にあるのではなかった。

カシュガル新国際バスターミナル

八里橋検問から5分くらいで、新国際バスターミナルに到着。ちょうどホテルからタクシーで30分位であった(30元)。

ちなみに広州新場はこの写真の向こう側にある。新国際バスターミナルは広州新場隣にあるが、どちらも敷地が広くて、広州新場で下車してしまうと、新国際バスターミナルまで歩いて来るのが大変である。

新しく開けた場所なのか、周囲は店もホテルも何もない。

自分が到着してすぐ、ホテルフロントで教えてもらった4路の路線バスが来た。西域広場から出ていると聞いていたが、その西域広場がどこにあるのか分からなかった。実際はホテル近くのバス停から2駅ほどの近さであった。
このどうでもいい写真を撮っている間に問題が起きた。
この後、チケット売り場へ行き、タシュクルガン行きのチケットを買おうとしたら、今日出発の9:30発、10:30発のチケットはなんと売り切れ!これから12、13人以上集れば、中型バスを出す可能性はあるという。とりあえず、バス乗り場へ行け!と言われた。

切符は9:30から販売との情報があったのだが、自分が買いに行ったのは9:05頃。だれも並んでいなかったが、タジク族の母娘がチケット売り場からバス乗り場の方へ向かっていくので、タシュクルガンへ行くのか聞いてみた。すると彼女たちはたった今、チケットを買い、最後の2枚だったという。そして小娘がチケットを顔の前でヒラヒラさせて、「残念でした!」みたいなことを言ってきた。タクシーで着いてから速攻でチケットを買いに行っていれば、買いつけたかも知れない。

タジク族

待っている間、さっきのタジク族の小娘が話しかけてきた。
タシュクルガン出身のタジク族で、カシュガルにいる叔母が病気なので、1週間程、お見舞いにカシュガルへ来ていたそうだ。間もなく学校が始まるので、今日、タシュクルガンへ帰るという。
普通語が流暢なので理由を聞くと、普通語は学校で習っているので普通に話せるという。普通話は国語、タジク語が母語、そしてウイグル語も出来るという。
自分は日本から来たというと、「初め漢族ではないと思ったが、日本人を見るの初めて!」と言われた。
このとき、バスを待っていた乗客で、彼女たちだけが民族衣装を着て目立っており、写真を撮らせてもらった。快諾してくれた。

お母様とツーショットの写真を撮っていたら、外野から「タシュクルガンに行けば、みんなこんな格好をしている、もっと美人がたくさんいるので、今ここで写真なんてとる必要ないよ!」と野次が飛んできた。何というか、美女の言葉に釣られたわけではないが、この中国であって中国でない、ウイグルであってウイグルではない、未知の世界の魅力に魅せられ、是が非でもタシュクルガンへ行きたくなった。

暫くバス乗り場で待機していると、同じようにタシュクルガンへ行きたい乗客が1人、2人と集まって来た。1時間程待ったが、結局7人しか集まらず、臨時バスは出ないことが分かり、自分以外の6名はこの日の移動を諦め、退散して去って行った。
今回の自分の旅程は既に日程が詰まっており、明日再出発ではダメで、どうしても今日行かなければならない。最終手段として、お金でものを言わせる決断をし、窓口へ行き「1000元払うから、何とかして欲しい!」と懇願する。

するとウイグル族の販売員のおばさんが「ここへ電話してみろ!」と写真上の電話番号を指して言った。掛けてみると、ウイグル語か何かで言葉が通じない。それで販売員のおばさんに助けてもらう。電話を替わったおばさんが話をし「小型車1台500元、中型車600元、どちらがいいか?」と聞いてきた。
「どっちらでもいい」
「小型車480元でいいか?」
「可以、可以!(OK、OK)」、
また暫く話して、「他に2人乗客がいるが、いいか?」
「もちろん!」
「お前は2人分の料金、250元払え、そうすればすぐ来る」
よく分からないが、値下げ交渉をしている訳ではないのに、どんどん値段が下がっている。
「今日中に行けるのであれば、何でもいい!!」
で交渉成立した。
「20分くらいで運転手が迎えに来るので、ここで待っていろ!」と言われる。
こちらも「2人分払うのだから助手席にして欲しい」と追加注文する。
待っている間、何度もウイグル族の販売員のおばちゃんに「本当に今日行けるのか?」「まだ運転手は来ないのか?」としつこく聞いてしまった。

写真はバスの料金表。タシュクルガン(塔什庫爾干)までは、中級(中型)89元、高一(大型)119元である。早いもん順に適当に振り分けられるみたいなので、選択の余地は無いと思う。距離の41㎞は間違いと思われるが、実際は280㎞程ある。

30分ほどしてお迎えがやって来た!運転手はキルギス族であった(そのことは後で知った)。また事前に言われた通り、後部座席に2人の乗客が既に乗っていた。こちらはウイグル族ではなくマンダリンを話す普通の中国人(漢族)だった。

きちんとプレートもある。タシュクルガンへ行くには正規の手続きを踏まなければならず、そこの辺のタクシーにお金を払えば、好き勝手に連れて行ってもらえる、という訳ではなさそうだ。

いろいろあったが、11:56に新国際バスターミナルを無事出発できた。

自分は散々な思いをしたのに、後ろの2人はどうやってこの車を見つけたのだろう。是非、聞いてみたかったが、止めておいた。
自分が2人分の料金を払っていて、文句に聞こえて誤解されるのも嫌だし、既にタシュクルガン行きの車に無事乗車できたので、それで十分である。
自分は助手席に座れて、後ろの2人は、本来は3人座れるはずの後部座席に2人でゆっくり座れ、定員1名欠員状態で車の重量も軽くなり、燃費もよくなり、みんながHappyなので、それでいいのである。

カラコルム・ハイウェイ(中巴公路)

この道はR314、通称「カラコルム・ハイウェイ」。なんだか新疆らしい雰囲気。
助手席に座り、事故れば命の保証がない、という条件付きであるが、景色が十二分に満喫でき、ゆったりできてバスより快適だ。結果的に良かった。苦労した分、テンションが高まった。

車が少なく、ぐんぐんとスピードを上げる。しかしこんな快適な道がいつまでも続いている訳ではなかった。

新国際バスターミナルから15分後、このような風景に。

後ろの2人の漢族の1人が、やたら運転手に話しかけてきた。自分たちは出張でタシュクルガンへ行くことになり、今回が初めてだという。
運転手が何族か、どこに住んでいるのか、タシュクルガンへ行ったことがあるか、その他諸々、機関銃のように捲くし立てていたが、巻き舌が強い北方なまりの強い普通語に、運転手は殆ど聞き取れていないようで、まともに回答出来ていない。漢族は運転手が聞き取れていないのと悟り、そのうち質問を止め、無言になった。また自分へは何故か一切話しかけてこなかった。

街らしいところに出たが、直ぐに通り過ぎてしまう。

そして再び砂漠地帯へ。

出発からちょうど30分過ぎたところ。標識がありタシュクルガン(塔什庫爾干)まで216km。その下の「紅其拉甫」はパキスタン国境で343㎞ある。
このとき、怖いくらいに飛ばしていた。メーターを覗いてみると、壊れていてメーター針が無く、時速何kmで走っているのか分からない。体感的に120km以上は出していたと思う。
タシュクルガンへは約6時間掛かると言われていたが、あと216kmじゃん。この調子で行けば2時間で着くのでは?バスじゃないから・・、と甘い妄想を抱いていた。

暫くして落ち着いてくると、ふと思い出したかのように疑問が湧き出てきた。自分のチケットはバス(高一クラス)と同じ119元×2枚=238元。250元払ったが、残りの12元は何処へ消えた?

まぁ無事に行くことができたので、良しとしたい。(おばちゃんの懐に入ったのか!?)

砂漠地帯から山岳地帯に入ってきた。

次第に道が険しくなる。

道路の舗装も無くなったが、これはまだマシなほう。

「火閻山」って呼べるような場所、吐魯番でなくともあるんだ。

だんだんヤバくなってきた。

揺れる、揺れる。

揺れに揺れてくる。

14:00過ぎ、タシュクルガン→カシュガルのバスとすれ違う。
出発から約2時間なので、あのバスは16:00過ぎ頃、新国際バスターミナルに着くのだろう。つまり自分がタシュクルガンからバスで帰ると、16:00着、市内ホテルへは大体17:00頃になりそうだ、と分かった。

前方にかなり高い山が見える。山頂付近には雪が積もっている。

景色は良いのだが、道が悪くて、なんだかとても疲れてきた。

集落みたいな場所に着く。

ここでトイレ休憩。

この時、自分はトイレに行く必要はなかったが、怖いもん見たさで覗てみる。ボットン式で、外の崖へそのまま垂れ流し状態になっていた。中はなんとも形容し難い地獄図が展開されていた。

蓋孜検問所

ここで停車したはトイレ休憩だけが目的ではなかった。この100m先に検問所(蓋孜検問所)があり、そこまで歩いていく。運転手からカメラはしまえ、と合図されたので、急いでポケットにしまう。そのため検問所の写真は無し。

蓋孜検問所を無事に通過し、出発。

もう、なんていうか道ではなくなっている。工事している様子もあるが、工事中なのでこうなっているのか、自然災害で修復中なのか分からない。

道路と呼べない状態になってきている。

こんなところに人がいた。しかも女性だ。一体何しているのだろう?