新疆ウイグル自治区

ハミ/新疆入境検問所で足止めされる シルクロード鉄道旅行㉒

星星峡

新疆ウイグル自治区入境

13時半過ぎに新疆ウイグル自治区へ入境した。

新疆ウイグル自治区入境。

入境後、すぐ検問があった。

写真を撮っていたら、バスの運転手から「これからカメラは出すな!」と言われる。
嫌な予感がしたので、バスを出て検問所へ行く前、デジカメからSDカードを取り出し、靴下の中へ隠した。

乗客全員バスから降り、身分証のチェックを受けるが、簡単には通してもらえなかった。

オーストリア人と自分の外国人2名はパスポートを返してもらえず、渡航目的等、あれこれ詰問される。足止めされて30分後、バスの運転手からこれ以上待てない!と言われ、荷物を降ろされ、先に行かれてしまった。

ここを警備していたのは中卒で当兵してるような超若造で、どこかに連絡をして、ただ指示を待っている。
こちらが何故先に行けないのか聞いても、全くお話にならない。パスポートを取り上げられているので、余り反抗的な態度は出せない。新疆で拘留されたのは2回目なので、身の危険は感じなかったが、終始緊張状態で、またこれから先の旅の計画が遂行できるかの不安で頭がいっぱいであった。結局1時間程して、哈密駅まで公安の車で護送されることになった。上の図の赤い線が護送されたルートであるが、280㎞程あり、5回に分けてリレー方式で哈密駅まで護送された。

検問所から先へ進めたのは、自分は哈密駅から吐魯番への高鉄の切符を所持して、旅程が確定している証拠があったことと、オーストリア人は哈密での宿泊予約の確認書を持っていたことが決め手になったようだ。もし高鉄の切符を持っていなかったら、自分は先へは進めなかったと思う。

哈密

哈密駅構内

ところ変わって、哈密駅構内。17:30頃到着した。
星星峡の検問所から公安の車に乗せられ、計5箇所の検問所ごとにリレー方式で公安の車を乗り継ぎ、ようやく哈密駅まで辿り着いた。哈密駅構内へ入るまでずっと公安監視下にあり、駅構内へ送り込まれ、やっと解放されたという状態だった。護送途中、別の惑星にいるかのような素晴らしい風景が見られたが、終始緊迫状態で写真を撮れるような状況ではなく、この間の写真は無い。

そっと下を見ると、付き添って来た公安がまだいて、駅員と雑談していた。哈密みたいなマイナー都市には外国人を入れたくないようだ。
自分が先に駅へと連れて行かれ、別れ際、一緒に来たオーストリア人は不安そうな表情を浮かべていた。市内のどっかのホテルに2泊予約してるそうだが、こんな状態じゃ自由観光なんて出来るはず無く、ホテルに缶詰状態となるだろう。69歳のご老体で、よくこんな場所へ一人旅で来るもんだ。検問を通過するたびに国籍を聞かれ、「オーストリアとオーストラリアは違う!」と力説していた。

自分の乗車する高鉄はD2711 18:37分発烏魯木斉行き。なんだかんだと間に合ってよかった。
途中、敦煌-柳園間の道路工事も無く、また星星峡の検問で足止め食らうことも無ければ、15:00には着いていたはず。哈密で3時間ほど観光計画を立てていたが、泡水となった。

新疆伊寧でも拘束経験があるので、それほど不安や身の危険を感じなかったが、終始緊張しっぱなしであった。

暇つぶしに売店で何か買おうとしたが、欲しいと思う物がない。売店の店員はウイグル族だった。

哈密市内の様子を窓からそっと垣間見る。この城市では自由観光は許されなかった。

駅前広場。

本来、ここで3時間ほど時間が取れたはずだったので、歩き方に載っていたラグメンの店へ行き、ちょっとブラブラ街中見学しようと考えていた。

哈密で特別どこか行きたい場所があったわけでもないので、市内観光出来なくても別に悔いはない。

ただ今日一日時間を無駄にした悔いが残る。素直に柳園南から鉄路で来ればよかった、バスなんかで来るんじゃなかった、と思った。

鉄路で来ても、ここで下車して、駅の外へ出て、自由に行動出来たであろうか?
この先、吐魯番や烏魯木斉はどうなんだろう?と一抹の不安が過ぎる。この2年前、新疆へ来た時よりかなり渡航規制が厳しくなっていると感じた。

列車到着20分前に検票が始まり、ホームへ入る。

ホームの様子。
哈密駅は在来線と高鉄が一緒になっている。

列車が来た!

結構、ここから乗り込む乗客が多かった。

車中の様子。ほぼ満席状態。切符を事前購入しておいてよかった。

出発!
だけど自分の座席はあいにく通路側で、うまく外の景色の写真が撮れなかった。

車窓からの様子。

哈密駅を出て5分もしないうちに、このような砂漠地帯の景色に様変わりした。

吐哈駅

哈密から1時間半ほどで駅に到着した。

「吐哈駅」。
単純に哈密と吐魯番の間にあるから「吐哈」という地名なのか?

どういう訳か吐哈駅で結構多くの人が下車し、窓側席が空いたので、そちらに移った。

こんな場所に何があるのか?遥かかなた、道の向こうに人が住んでいる地帯があるのだろうか?

石油を採掘している。

車中の様子。
空席が出てきて、一部乗客のお行儀が悪くなった。

暫くして、なんか火閻山ぽい風景が見えてきた。