新疆ウイグル自治区

カシュガル→タシュクルガン/カラクリ湖 新疆ウイグル自治区・南疆鉄道の旅④

カシュガル(喀什)

早朝のカシュガル市内

明け方、ホテルの窓からの風景。

北京朝7:00で、新疆時間では朝5:00である。

8:00前、朝食付きなので、5Fの食堂へ来た。

5Fの火鍋屋が朝食会場となっている。

人民広場

8:30にチェックアウトした。

早朝の人民広場の様子。人影は少ない。

今回宿泊していた天縁商務酒店。

タクシーで、移転した国際バスターミナルがある広州新場付近へ行く。ホテルのフロントも、タクシー運転手も、バスターミナルが移転したことを知っていなかった。しかし昨日の移転案内の貼り紙に、「広州新場近く」の記述があり、フロントも運転手も広州新場の場所は知っていた。

西域広場付近

西域広場付近

ホテルからバス亭2つ目の場所。実はここから新国際バスターミナル行き4路のバスが出ていた。

疏附県八里橋公安検査駅

完全に市街地から外れた場所にある。検問を通るため、一旦タクシーを降りる。「疏附県八里橋公安検査駅」と標示があり、つまりカシュガル市内から出ることになる。新しい国際バスターミナルは、カシュガル市内にあるのではなかった。

カシュガル新国際バスターミナル

八里橋検問から5分くらいで、新国際バスターミナルに到着。ちょうどホテルからタクシーで30分位であった(30元)。

ちなみに広州新場はこの写真の向こう側にある。新国際バスターミナルは広州新場隣にあるが、どちらも敷地が広くて、広州新場で下車してしまうと、新国際バスターミナルまで歩いて来るのが大変である。

新しく開けた場所なのか、周囲は店もホテルも何もない。

自分が到着してすぐ、ホテルフロントで教えてもらった4路の路線バスが来た。西域広場から出ていると聞いていたが、その西域広場がどこにあるのか分からなかった。実際はホテル近くのバス停から2駅ほどの近さであった。

このどうでもいい写真を撮っている間に問題が起きた。
この後、チケット売り場へ行き、タシュクルガン行きのチケットを買おうとしたら、今日の分は売り切れ。

これから12、13人以上集れば、中型バスを出す可能性はあるという。
とりあえず、バス乗り場へ行け!と言われた。

切符は9:30から販売との情報があったのだが、自分が買いに行ったのは9:05頃。だれも並んでいなかったが、タジク族の母娘がチケット売り場からバス乗り場の方へ向かっていくので、タシュクルガンへ行くのか聞いてみた。
すると彼女たちはたった今、チケットを買い、最後の2枚だったという。
そして小娘がチケットを顔の前でヒラヒラさせて、「残念でした!」みたいなことを言ってきた。
タクシーで着いてから速攻でチケットを買いに行っていれば、買いつけたかも知れない。

タジク族

待っている間、さっきのタジク族の小娘が話しかけてきた。
タシュクルガン出身のタジク族で、カシュガルにいる叔母が病気なので、1週間程、お見舞いにカシュガルへ来ていたそうだ。
間もなく学校が始まるので、今日、タシュクルガンへ帰るという。
普通語が流暢なので理由を聞くと、普通語は学校で習っているので普通に話せるという。普通話は国語、タジク語が母語、そしてウイグル語も出来るという。
自分は日本から来たというと、「初め漢族ではないと思ったが、日本人を見るの初めて!」と言われた。

このとき、バスを待っていた乗客で、彼女たちだけが民族衣装を着て目立っており、写真を撮らせてもらった。快諾してくれた。

お母様とツーショットの写真を撮っていたら、外野から「タシュクルガンに行けば、みんなこんな格好をしている、もっと美人がたくさんいるので、今ここで写真なんてとる必要ないよ!」と野次が飛んできた。

最終手段として、お金に物を言わせて、補助席、いや無座でもいいから乗せてもらおうとしたが、再び新国際バスターミナルに着いたのは11:08。11:00のバスは珍しくというか、こんな時に限って定刻通りに行ってしまったらしい。
今回の自分の旅程では、明日再出発ではダメで、どうしても今日行かなければならない。窓口へ行き、「1000元払うから、何とかして欲しい!」と懇願する。

するとウイグル族の販売員のおばさんが、「ここへ電話してみろ!」と言う。掛けてみると、ウイグル語か何かで普通語が通じず、おばさんに助けてもらう。暫くおばさんが話をし、「小型車1台500元、中型車600元、どちらがいいか?」と聞いてきた。
「どっちらでもいい」
「小型車480元でいいか?」
「可以、可以!(OK、OK)」、
また暫く話して、「他に2人乗客がいるが、いいか?」
「もちろん!」
「お前は2人分の料金、250元払え、そうすればすぐ来る」
よく分からないが、値下げ交渉をしている訳ではないのに、どんどん値が下がる。
「今日中に行けるのであれば、何でもいい!!」
で交渉成立。
「20分くらいで運転手が迎えに来るので、ここで待っていろ!」と言われる。ついでに「2人分払うのだから助手席にして欲しい」と追加注文する。

待っている間、なんどもウイグル族の販売員のおばちゃんに「本当に今日行けるのか?」「まだ運転手は来ないのか?」としつこく何回も聞いてしまった。

写真はバスの料金表。
タシュクルガン(塔什庫爾干)までは、中級(中型)89元、高一(大型)119元である。
早いもん順に適当に振り分けられるみたいなので、選択の余地は無いと思う。

後部座席に2人の乗客が既に乗っていた。ウイグル族ではなく、普通の中国人(漢族)だった。

きちんとプレートもある。タシュクルガンへ行くには正規の手続きを踏まなければならず、そこの辺のタクシーにお金を払えば、好き勝手に連れて行ってもらえる、という訳ではなさそうだ。

いろいろあったが、11:56に新国際バスターミナルを無事出発できた。

自分は散々な思いをしたのに、後ろの2人はどうやってこの車を見つけたのだろう。是非、聞いてみたかったが、止めておいた。
自分が2人分の料金を払っていて、文句に聞こえて誤解されるのも嫌だし、既にタシュクルガン行きの車に無事乗車できたので、それで十分である。
自分は助手席に座れて、後ろの2人は、本当は3人座るはずの後部座席に2人でゆっくり座れ、且つ定員1名欠員により、車の重量も軽くなり、燃費もよくなり、みんながHappyなので、それでいいのである。

カラコルム・ハイウェイ(中巴公路)

この道はR314、通称「カラコルム・ハイウェイ」。
なんだか新疆らしい雰囲気。
助手席に座り、事故れば命の保証がない、という条件付きであるが、景色が十二分に満喫でき、ゆったりできてバスより快適だ。結果的に良かった。苦労した分、テンションが高まった。

車が少なく、ぐんぐんとスピードを上げる。しかしこんな快適な道がいつまでも続いている訳ではなかった。

新国際バスターミナルから15分後、このような風景に。

後ろの2人の漢族の1人が、やたら運転手に話しかけてきた。自分たちは出張でタシュクルガンへ行くことになり、今回が初めてだという。
運転手が何族か、どこに住んでいるのか、タシュクルガンへ言ったことがあるか、その他諸々、機関銃のように捲くし立てていたが、巻き舌が強い北方なまりの強い普通語に、運転手は殆ど聞き取れていないようで、まともに回答出来ていない。漢族はそのうち諦めて、無言になった。また自分へは一切話しかけてこなかった。

街らしいところに出たが、直ぐに通り過ぎてしまう。

そして再び砂漠地帯へ。

出発からちょうど30分過ぎたところ。標識がありタシュクルガン(塔什庫爾干)まで216km。その下の「紅其拉甫」はパキスタン国境で343㎞ある。
このとき、怖いくらいに飛ばしていた。メーターを覗いてみると、壊れていてメーター針が無く、時速何kmで走っているのか分からない。体感的に120km以上は出していたと思う。
タシュクルガンへは約6時間掛かると言われていたが、あと216kmじゃん。この調子で行けば2時間で着くのでは?バスじゃないから・・、と甘い妄想を抱いていた。

暫くして落ち着いてくると、ふと思い出したかのように疑問が湧き出てきた。自分のチケットはバス(高一クラス)と同じ119元×2枚=238元。
250元払ったが、残りの12元は何処へ消えた?

まぁ無事に行くことができたので、良しとしたい。
(おばちゃんの懐に入ったのか!?)

砂漠地帯から山岳地帯に入ってきた。

次第に道が険しくなる。

道路の舗装も無くなったが、これはまだマシなほう。

「火閻山」って呼べるような場所、吐魯番でなくともあるんだ。

だんだんヤバくなってきた。

揺れる、揺れる。

揺れに揺れてくる。

14:00過ぎ、タシュクルガン→カシュガルのバスとすれ違う。
出発から約2時間なので、あのバスは16:00過ぎ頃、新国際バスターミナルに着くのだろう。つまり自分がタシュクルガンからバスで帰ると、16:00着、市内ホテルへは大体17:00頃になりそうだ、と分かった。

前方にかなり高い山が見える。山頂付近には雪が積もっている。

景色は良いのだが、道が悪くて、なんだかとても疲れてきた。

集落みたいな場所に着く。

ここでトイレ休憩。

この時、自分はトイレに行く必要はなかったが、怖いもん見たさで覗てみる。ボットン式で、外の崖へそのまま垂れ流し状態になっていた。
中はなんとも形容し難い地獄図が展開されていた。

蓋孜検問所

ここで停車したは休憩だけが目的ではなく、この100m先に蓋孜検問所があり、歩いていく。運転手からカメラはしまえ、と合図されたので、ポケットにしまう。そのため検問写真はなし。

検問を無事に通過し、出発。

もう、なんていうか道ではなくなっている。工事している様子もあるが、工事中なのでこうなっているのか、自然災害で修復中なのか分からない。

こんなところに人がいた。しかも女性だ。一体何しているのだろう?

白沙湖

デコボコ道を1時間以上、ハラハラしながら走りっていると、前方に湖が見えてきた。

ダム湖らしい。

これまでみたことのないような鮮やかな水色だ。

往路は分からなかったが、帰り際、このダム湖が「白沙湖」という名前であることを、看板から知った。

店がある場所で休憩することになった。

湖に向かって歩いて行く。

こちらの道路は湖に向かって突っ込んでいる。
かつてのカラコルム・ハイウェイだったらしいが、ダム湖の出現で沈んだらしい。

この景色、なんかヤバい!あの白い部分は何か分からないが、山肌の一部のようだ。

このダム湖は水力発電用のダムの湖で、2007年と比較的最近に出来たらしい。

本当に、本当に、景色がすばらしい!

車の場所に戻る。
停車中の場所は、ちょっとした店があり、ドライブインみたいになっている

一応、レストランらしい。

中へ入ってみる。左端の人が運転手。

後で知ったが、ここはキルギス族の家。
食事は出来るが、いつ料理が出来上がってくるかわからないし、環境的に食欲も進まない。

土産売りの勧誘がすごかった。おばちゃんに「何族?」と聞くと「クルグス族」と返ってきた。普通語は伝わりにくい。「クルグス」と聞いて、「キルギス」かと思ったが、後ほど調べて、あることが分かった。
「キルギス」とはロシア語読みらしく、現地語発音は「クルグス」に近い音なのである。
中国語の漢字表記で少数民族の「キルギス族」は「柯爾克孜族」と表記し、現地語音に近い読み方(クルグス)をする。
一方、外国である「キルギス共和国」については、「吉爾吉斯」と、ロシア語に近い表記をしている。
ここでは便宜上、クルグスではなく、「キルギス」という表現にしておく。

キルギス族の少年も営業活動に来た。
先ほどのおばちゃん達は、この少年が持っているような数珠や「翡翠」と称している石ころみたいなものを売りつけている。実際にどれくらいの価値のあるものかは不明。
この少年は、先ほどのおばしゃんが、150元から80元まで値下げしてきた数珠と同じものを、「2個30元でいいから買って!」と懇願してきた。もちろん黙殺した。

30分ほどダム湖のドライブ・インで休憩して出発。
出発後、運転手が普通話で、「さっきの場所は自分の老家だ」と言っきた。
また運転手はウイグル人かと思っていたけど、キルギス人であることも分かった。
そういえば出発の際、土産売りのおばちゃんが手を振り、少年どもとも握手をしていた。
実際の老家から定かでないが、あの辺の出身者で、あそこにいた人たちはみな同胞なのであろう。

ダム湖から30分くらい走る。

カラクリ湖が見えてきた!

先ほど白沙湖で休憩したばかりだけど、無理行って少し観光に止めてもらった。

後ろの乗客2名にも詫びを言っらら、「タバコが吸えるからいいよ!」と承諾を得られた。

カラクリ湖(喀拉庫勒湖)

カラクリ湖は漢字で「喀拉庫勒湖」と書き、運転手は「喀湖、喀湖!」と言っていた。地元ではいちいち喀拉庫勒湖なんて長ったらしい呼び方はせず、単に「喀湖」と呼んでいる。

他の方の旅行記を見ると、喀什からわざわざここまで日帰りで観光に来るツアーがあるらしい。

こちらは自然湖で、確かに奇麗な景色であるが、先ほどの白沙湖の方が正直インパクトが強い。

前方の山は慕士塔格峰(ムスタグ・アタ)、標高7,546Mある。

暫くすると馬に乗った人がやって来て、「乗馬しないか」と勧誘をしてきた。
「すぐ出発するので結構」と言うと、あっさりと馬に乗って去っていった。

あちらの山脈は公格爾(コングール山脈)で、最高標高7,649M。

15分ほど休憩して、再び出発。

道路があるが、なにやら渋滞している。

草原の中を迂回して行く。

前方の山は慕士塔格峰(ムスタグ・アタ)、標高7,546M。

野ラクダがいた。

慕士塔格峰(ムスタグ・アタ)標高7,546M。

慕士塔格峰(ムスタグ・アタ)に向かって走る。

実際に坂道を上っている。

どんどん標高が高くなっていく。

写真真ん中の道をずっと走ってきて、その後、上ってきた。

山を上ると、タシュクルガン県に入った。

「新疆パミール旅遊景区」と書かれている。

隣は「カラス口岸」。「口岸」とは海関のことである。

検問だ。おそらくタシュクルガン市内へ入る検問で、最後の難所だ。

車を降りて建物の中へ入るが、人がいなく、あっさりと素通りした。

塔什庫爾干(タシュクルガン)

市街地へ入ってきたようだ。
この後、漢族2人が「ここだ、ここだ」と下車し、「温泉中心欧夢巴庄園」の隣の建物に向かって去って行った。下車するときの2人の会話を聞くと、2人ともネットのインフラ整備に来たエンジニアらしい。

自分の予約しているホテルは、バスターミナル付近なので、とりあえずバスターミナルまで行ってもらおうとしたら、2人が降りた場所から道路を挟んですぐ反対側にあるのを発見。入口まで乗り付けてもらう。

凱途国際温泉酒店

凱途国際温泉酒店。
K2と標示されているが、「凱途」とはK2の音訳当て字だったのか。

※K2とはタシュクルガン・タジク自治権とパキスタン国境にある標高8,611Mの世界第2の山。

ホテルに着いたのは北京時間18:00頃。カシュガル国際バスターミナルからちょうど6時間の道のりであった。

北京時間18:00過ぎでも新疆時間ではまだ16:00過ぎ。チェックアウトして荷物を置く。外はバリバリに明るいので、少し休んで探索に出掛けた。