芙蓉鎮
映画『芙蓉鎮』の世界
映画の中の「胡玉音」扮する劉暁慶の写真。
彼女は映画『西太后』『続・西太后』にも主演・西太后役で出ていた。
今回、張家界の近くにその「芙蓉鎮」があることに気付き、立ち寄った。初めて映画を見たとき、この場所に自分が来れるなんて思ってもみなかった。
『芙蓉鎮』とは劉暁慶、姜文主演の中国映画で、中国で初めて文革を暗に批判した映画として有名である。また中国語学習者であれば、「城南旧事」とともに、古典的な中国映画として見た(半強制的に見せられた?)ことがある人が多いのではないかと思う。
内容はともかく、この映画そのものに自分はかなり魅せられた。
もともと湖南省湘西土家苗族にある玉村という場所が舞台になったのであるが、観光地化が進み、映画の名前を取って2007年、本当に「芙蓉鎮」という名前に改名された。
11:30前に芙蓉鎮バスターミナルへ着き、荷物を預け、公交車(2元)へ乗り、芙蓉鎮入口へ。
入場料100元。意外と高い。
「土王橋」を渡る。
一昨年前、貴州省遵義へ行った時もこのような酒甕がたくさんあった。
土司の居城入口。
この辺一帯は以前「渓州」と呼ばれ、910-1728年までの800年近くの間、彭氏という土家族の土司が支配していた。
玉座ならぬ「土司座」。
土司の寝室らしい。
彭氏が支配を始めた910年は唐が滅亡し、五代十国時代に入っている。
その後の歴代中央政権は、こういう辺境地は土司を操り、間接統治していた。
しかし清朝雍正帝時代になり、中央政府直轄化政策(改土帰流)であっけなく統治終了したらしい。清朝全盛期の八旗には太刀打ちできなかった。
暫く歩くと滝へ出た。
鎮民の生活通りは商店街化されていた。
それにしても何か活気がない。
DVDが売られていた。1枚15元。
しかも日本語で説明が書いてあり、日本語吹き替え版と書いてあった。
1枚購入し、帰国後鑑賞したら163分ノーカット版、中国語音声で、日本語と中文字幕が併記されていた。
中国人の観光客がこれを手に取り、「何で日本語が書いてあるの?」と怒り気味でつぶやいていた。
映画では王秋赦のボロ家があったと思われる場所。
映画では最後、崩れて無くなってしまうが、当然今も無い。
映画の中と同じで、今も非常に汚ない。
昼食の時間なので、この店に入ってみた。
米豆腐
もちろん「米豆腐」を注文して食べてみた(10元)。
らっきょ型の米豆腐で、映画のとはイメージが全く違った。
味はというと・・、豆腐の食感はない。
すいとんを更に薄くしたような感じだ。
一応無理して全部食べた、リピートしたいとは思わない残念な味だ。
満足度を得られないまま、再び散策開始。
40年以上前の映画を、いまだに観光資源にしようとしている感がある。
映画の中での宿敵・李国香の住居。
李国香に下った貧農・王秋赦はここへ通いつめていた。
王秋赦が出入りしていた窓。
明け方、ここから抜け出し、足を滑らせ骨折した。
ここは「観音閣」という建物で、中は神聖な宗教的場所であった。
ほとんど手がつけられていない状態で「米豆腐」が捨てられていた・・。
捨てた人の気持ちが分からないわけでもない。
映画のイメージとのギャップに、大変残念である。
ここでは映画と同じ四角い「米豆腐」が売っていたので、もう一度チャレンジしてみた。
胡玉音の米豆腐
お店のロケーションもいい。滝を観賞しながら食べた。
「米豆腐」の食感はらっきょ型でも四角でも同じであるが、こちらのはスープが美味しかった。しかも一杯5元。
ちなみに映画の中ではこれよりもっとてんこ盛りで、一杯1角で売られていた(1963年)。
この倍あるとして(10元分)、当時の価格と比べると100倍になっている。
この日、気温は30℃を超えていて暑かったが、ここの場所は涼しかった。
暫く休憩した。
この風景をボッーと眺めているだけで、心も休まり、かなり気持ちよかった。
角なので、もう1杯チャレンジした。もう一生食べる機会はないと思う。
鳳凰古城にもこういうのがあった。
胡玉音新屋
ここは映画の中で胡玉音が米豆腐で稼いだお金で立てた新居。米豆腐御殿。
「暁慶新屋」の看板があるけど、映画の中では「胡玉音」新屋である。
初めて『芙蓉鎮』の映画を見た時、胡玉音が文革で迫害され泣いているシーンを見て、何でこんなにも悲しそうに泣けるのだろうか、と演技の上手さにもらい泣きしてしまった覚えがある。とても印象深かった。
それから「西太后」「続・西太后」(原題:火暁圓明園、睡廉聴政)を見て、「芙蓉姐だ!」と分かった。いわば真逆の立場の役を演じる彼女を見て、女優の真髄を感じた。
しかしその後、彼女は「中国で私ほど有名な女優はいない」的な発言をし、バッシングを受けた。
化粧品販売など、多方面のビジネス展開もし、成功を収めたが、脱税容疑で指名手配され、香港へ出国する途中の羅湖口岸で捕まってしまった。
2000万元ほど追徴金を支払ったらしい。
ここには教会もある。
芙蓉鎮バスターミナル
14:30頃、バスターミナルへ戻ってきた。この後、張家界へ行く。
早いバスで15:30発があったので、切符を購入。
1時間ほど時間があったので、市場を探索。
寝てるし。
定刻になり、このバスで今回の旅行の最大目的地「張家界」へ向かった。